向川尚樹の実走レポート

集団走行における選手のマナーついて
知っておいて欲しい大切なこと

「スズカ8時間エンデューロ秋sp」お疲れ様でした。大会当日は、秋晴れに恵まれ自転車の祭典にふさわしい一日となりました。皆さん、いかがでしたか?優勝した人、おしくも表彰台を逃がした人、目標を達成した人、出来なかった人、いろんな方がおられると思いますが、楽しんで頂けましたか?僕は4時間の部でスタートして、4時間終了後、1時間の休憩を挟んで8時間に合流して皆さんと一緒に走りました。

走行レーンは自分の力量をしっかりわきまえて選ぶこと

そこで、今回気になったのは、中速・高速レーンでの転倒です。(走行レーンの図はこちらを参照してください
中速・高速レーンは低速レーンを走っている選手と最高速レーンを走っている選手に挟まれるように走行するので、どちらにも気を使い、気の抜けない走行レーンだと思います。更に今回は中速・高速レーンを走る選手が多く混み合っているように感じました。それに対して、低速レーンが意外に空いているように見えました。恐らく、選手が中速・高速レーンに集中してしまったのでしょう。その結果、転倒が起きてしまったと思われます。

また、中速・高速レーンでは収まりきらず、最高速レーンへ回避する選手が多数見受けられました。その回避のタイミングと最高速レーンを走行する集団とが重なり、危険な状況もありました。今回は、最高速レーンの選手達が減速をして回避しましたが、最悪の場合、多人数での転倒事故が起きてしまいます。
例年、この大会は参加人数の定員を設けているので、実際コース上を走っている選手数に大きな違いがないと思います。しかし、今回は風向きなどが影響したのか分かりませんが、全体的に最高速レーン寄りの走行になっていたと思います。安全なレースを行う為、自分はどのポジションを走るべきなのか、力量やマナーを踏まえて考えていきたいと思います。

選手が守らなければならないマナーとは

自転車レースは、自分のポジションを考えて走るスポーツです。それは、戦略的にそしてマナー的な部分からも言えます。今回はマナー的な部分に絞って話をしたいと思います。
プロのレースでもマナーはあります。というか、徹底しています。ステージレースなどでは、リーダーチームには敬意を払い集団内でのポジション取りが最優的に行われます。そして、次に上位で競い合っているチームが優先されます。
また、レースの展開で集団の先頭を牽引しなければいけないチーム又は選手。これも、例えリーダーチームであったとしても、ポジションを譲ってくれたりします。しかし、このマナーに反した選手、チームがあった場合には選手同士で注意を促したり、時には喧嘩にまで発展する事もあります。プロの選手はこれらのマナーをシビアに守り、選手同士が尊重し合っているから、安全でクリーンなレースが行えています。

皆さんが走られているエンデューロも、レース形態は違いますが同じです。特にエンデューロは、初めてレースに出られる方、子供・女性・上級者など様々な方が同じコース上を走っています。僕らが走っているプロのレースよりも自分のポジションを考えながら走行する事が必要になってきます。
まずは、自分の走るレーンです。レースがスタートして周りを見渡し、自分はどの走行レーンで走れる力量があるのか見極める必要があります。自分の力量と見合わないレーンで走行すると、選手同士速度差が生まれるので衝突の危険性が出てきますよね。距離を短縮する為にコーナーの内側を走りたい、減速したくないからアウト・イン・アウトで走りたいなどの、選手それぞれの思惑があるかもしれませんが、まずは周りの選手の走行レーンを尊重する事が最優先です。高速で走る選手は低速側のレーンへ入らない。逆に低速で走る選手も高速側レーンに入らないようにしましょう。
自分が走行するレーンが決まっても、更にその中で速度差が生じ、選手同士交差する事があります。その時は「追い越し」を行って下さい。
追い越しとは、右側にレーンを変えて、前方の選手又は集団の前に出て、再び元のレーンに戻る事です。この元のレーンに戻る事をしていない選手が多かった為、今回右側のレーンに選手が集中してきたのだと思います。

集団走行はスポーツマンシップが最も大切

次に、自分が走行中の集団でのポジションを考えてみましょう。バイク審判は基本的にトップグループに付いています。その集団の大半はトップ争いをしている選手です。その選手達がクリーンにレースが出来るように、周回遅れの選手は集団の後方へポジションを下げるようにしましょう。
また、それ以外の集団では、自分の力量で先頭交代が出来るのか出来ないのかを考えなければなりません。体力的に出来ないのに、集団の前方でポジションをとると、先頭交代の妨げになってペースが乱れたり、前の選手から自分が遅れたせいで、後ろの選手に迷惑を掛けたりします。自分の力量と周りの選手との力量を比べながら走ることが重要です。
逆に、先頭にポジションを取って、力量があるにも関わらず先頭交代をしない選手がいます。今回も先頭集団にいました。これは、完全にスポーツマンシップに欠ける行為ですね。走っている選手同士、誰がどのように走っているのか直ぐに分かります。プロのレースでそういう事をしていると、ポジション取りが出来なくなります。前方へ位置取りしたくても、入れてもらえなかったり、手で押しのけられたりします。表彰台に上る時に、周りに強いから勝ったと思われたいですよね。決してセコイから勝ったと思われないようなレースをして欲しいです。

今回はレースの中での自分の立ち位置(力量など)、そして実際に走る位置を考えてきました。
自転車レースは一度に大勢の選手が一斉に走ります。車やバイクに比べれば速度は遅いですが、集団を形成した時の密集度は他のスポーツには類がないと思います。それだけ危険と隣合わせで、しかも長時間走行し続けます。
コースにでれば初参加でも選手です。強いから偉い選手って訳でもありません。
コース上全ての選手が自分のポジションを考えて、お互いを尊重し合えばクリーンで安全なレースができると思います。
勝っても負けても楽しかったと思えるレースに、これからも皆さんの力で作りましょう。