春の恒例行事となりました「スズカ8時間エンデューロ春sp」いかがでしたか?大会初日は湿度も低く、カラッと晴れ渡り自転車日和の1日でした。日曜日は残念ながら午後から雨が降り出しましたが、程よい火照った体のクールダウンとなったのではないでしょうか。
今大会も残念ながらツアー・オブ・ジャパンと日程が重なり、マトリックスチームからは、監督を含め4人だけの参加となりましたが、招待選手として参加してくれた、湘南ベルマーレの選手・イナーメアイランドの筧選手が献身的にサポートして頂き、そして大会に花を添えてくれた、ちゃりん娘が大会を盛り上げてくれました。

さて、レースは両日とも風が強く、ペースが上がらないレース展開となり、初日の6時間、2日目のアタック240、8時間などの耐久レースは、アタックして抜け出していく展開ではなく、先頭集団から脱落しないように走る消耗戦となり、最後まで先頭に残った選手が入賞するという展開となりました。特に2日目は午後からの雨で体が冷え、一気に脚が動かなくなった選手が多かったのではないでしょうか。これは、体力の消耗もありますが、体が冷やされ体温をあげる為にエネルギーを更に使った事から、エネルギー不足を起こした為だと思います。体力の消耗は仕方がない事ですが、エネルギー不足による失速は食事や補給の行い方でかなり変わってきます。そこで、今回はレース中のエネルギー補給についてアドバイスしたいと思います。


体の大きさや運動強度にもよりますが、およそ1時間あたり600〜800 kcalくらいになります。6時間ソロの部だと4000kcalほど消費する訳です。次に体内にはどれくらいのエネルギーを蓄えられるかご存知ですか?大体2000kcalほどです。カーボローディングという特殊な食事方法(食い溜め)を行ったとしても貯蓄は1.2〜1.3倍になる程度で、3000kcalや4000kcalには到底届きません。体に付いている脂肪もエネルギーに変わりますが、運動強度によって変化します。気持ち良く走れる運動強度では、脂肪エネルギーと糖質エネルギーが半々くらいで走れますが、運動強度があがると脂肪エネルギーは少ししか使用できなくなり、めっちゃキツく感じる運動強度では、ほぼ糖質エネルギーに切り替わり、脂肪エネルギーは1割ほどしか使用出来ません。通常レースの時は気持ち良く感じる運動強度で走る時間が少ない(脂肪エネルギーをあまり使えない)ので、体を動かすエネルギーは体に蓄えている糖質エネルギーと、走りながら補給する糖質エネルギーに頼るしかないのです。

TVでマラソン中継を見ていると2時間を境に失速する選手を見た事はないでしょうか。マラソンはレース途中に自転車の様に下りで足を止めたりする事がないので、時間あたりの消費カロリーは自転車より多いと思います。トップ選手はドリンクのみの補給で、2時間チョットで走り切ります。ドリンクに多少のエネルギーはあるかもしれませんが、時間当たり1000kcal消費したとすると2時間で体内のエネルギーがなくなる事になります。これが2時間の壁と言われている理由ですね。レースまでの食事で上手く体にエネルギーを溜め込まないと後半の失速を招く事になる訳です。この様な事から陸上の長距離界ではコンディショニングの一つとしてカーボローディングが主流となっている事がわかります。自転車も2時間程度で終わるレースならカーボローディングは重要ですが、今回の様な耐久レースでは、全体の消費エネルギーから引き算をすると1500〜2000kcalも足りなくなってくることから、事前にエネルギーを蓄えるより、レース中に補給を上手く摂る事がより重要になってきます。


レース中は、内臓に負担がかからず、素早く体内へ吸収されエネルギーに変わるモノが良いです。また、レースがスタートして直ぐに補給食を摂り始め、30分毎または1時間毎に定期的に摂る事が重要です。エネルギー不足を感じてからでは手遅れとなります。



今回の6時間エンデューロは次のような感じで消費エネルギーを考えてみました。

レース前の準備としてあらかじめ、どれくらいのエネルギーがレース中に不足するのか考えておくのが重要です。
そうする事によって、補給食の準備や実際ポケットに入れて走る個数なども決まってくるし、どれくらいのペースで補給食を捕らなくてはいけないのかもわかりますよね。
以上の事を実践すれば、レース途中にエネルギー切れすることなく自分本来のパフォーマンスを発揮する事ができると思います。ぜひ実践してみて下さい。

次回のスズカ8時間エンデューロは、11月4日「スズカ8時間エンデューロ秋sp」です。皆様のご参加お待ちしております。