雨の中、レースお疲れ様でした。体調は崩していないですか?人に聞いておきながら私は、それほど寒くなかったと油断したせいでしょうか、レース翌日から微熱が続いております。
この大会も16回目となり、震えが止まらないほど寒い日もあれば、灼熱の中フラフラになりながら走った記憶もあります。様々な天候の中、開催されてきましたが、8時間の競技中、雨が止むことなく降り続いたのは、今回が初めてのような気がします。まずは天候との戦いに勝つと言っても過言ではない、この8時間エンデューロ。以前のコラムでも3回ほど「雨の攻略法」を取り上げました。たしか「寒さ対策」、そして「濡れた路面の攻略法」等だったかと思います。今回は「雨の攻略法パート4」として「視界の確保」をテーマにしたいと思います。

皆さん走られていて雨天のレースは非常に走りにくいと感じたと思います。特にスタートから5時間が経過した頃から雨足が激しくなりました。単独で走っていても雨粒が顔に当たり痛い、目が開けられないといった感じで走行が困難だったと思います。更に自転車のブレーキもドライの時とは違い、利きが悪くなり、ヒヤッとした人もいるかと思います。ドライよりブレーキが利かない、タイヤは滑りやすい状態、濡れた路面は怖いですよね。本来ならドライコンディションより早い段階で前方の状況を把握し、コースのライン取りや、ブレーキングを行わなければいけない。しかし、雨粒や前方からの雨水の跳ね上げなどで視界が奪われて、早い段階での状況判断ができない。物理的な意味で怖いというのもありますが、心中では「もし今、前方で何かあったら、止まれない・避けられない」という事が分かっているのに車間を詰めて走っている事の恐怖感もあると思います。

本来なら怖いと思ったら車間を開けるなり、スピードを落とすなりすれば、安全な位置が確保され恐怖感がなくなります。しかし、少しでも車間を詰めて空気抵抗を軽減したい、ちょっとでも速く走りたいと思う気持ちがあり、危険なゾーンへ身を置いてしまうのでしょうね。でも、これは無謀な行為だと思います。
では、どうすれば良いか?やはり、恐怖感をなくす事が重要です。恐怖感=無理をしている=危険な状態だと思います。上手く視界を確保すれば、早い段階で前方の状況を判断できるようになるので、同じ車間でも怖くなくなるかもしれません。ドライコンディションと同じように走行する事は不可能ですが、前方の視界を良くする事でドライコンディションの走りに近づけていく事はできます。その方法を紹介します。
まずは、レインコンディションで欠かせないアイテムを2つ紹介します。

薄い色やクリアーなレンズを使用しましょう。撥水や曇り止め処理がされているものがベストです。もし、処理がしていないモノでもレンズに塗る薬剤は販売されているので大丈夫ですよ。


キャップの鍔で前方からの雨粒や跳ね上げの水が目に入りにくくなります。また、ヘルメットから垂れてくる水も、キャップの鍔の方へ流れていくので目に入のを防いでくれます。

次は、走行テクニックを2つ紹介します。


前方の選手が走っているライン(後輪)の真後ろを走らず、右か左にずれる。真後ろを走ると、後輪に跳ね上げられた水が顔を直撃します。ほんの少し右か左にずれて、跳ね上げた水が肩に当たるくらいで走ると走りやすいですよ。
4つ目は視界の確保という所からは外れますが役立つテクニックだと思いますので紹介します。


ブレーキングの前に軽くブレーキパッドをリムに当てて10mほど走行して、リム表面の水を取り除いてから減速の為のブレーキングを行うと、思い通りにブレーキが利き易くなります。
マビックでは雨でもドライと同じようにブレーキが利き出すエグザリットというリムがあります。ドライと同じ感覚でブレーキングが出来るので、コーナーの手前でブレーキが利かずヒヤッとする事はなくなります。

4つ紹介しましたが、これを全て行ったからといってドライと同じように走れるかというと、そんな事はありません。視界は少し良くはなりますが、ドライほどではありませんし路面も滑り易い状態です。重要なのは安全マージンを取る事です。コーナーの手前では余分に減速する。恐怖感や危険を感じたら車間を少し開けるなど、危険予測をより行いながら走ることが重要です。そうする事で、恐怖感からの強張りが取れて、身体がスムーズに動き本来の力が発揮されると思います。
少々車間を開けて風を受けても、コーナーで減速し過ぎて加速で力を少し使っても、強張った身体より、リラックスしてスムーズに動く身体の方が良い結果が出ると思います。
是非、次の雨天時に試してください。